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食材の衛生~料理で必要な衛生知識~
自炊、もしくは家庭で料理をするときって、皆さんはいったいどれくらい「衛生」に関して考えているのでしょうか。
料理、食べ物は毎日口の中に入り、私たちの体の源となるものです。そこに細菌や病原体などがついていたら、仮に食中毒などを起こさなかったとしても、いい気分ではありません。ここではそんな、料理に関する衛生知識を少し解説したいと思います。
正しい衛生知識を持って料理はした方が良い
衛生に気を受けないとどんなことが起こるの?
これを見ている皆さんの中には、もしかしたら「そこまで気を付ける必要ある?」と思っている人もいるかもしれません。
では、気を付けなかったらどんなことが起こるのかを考えてみましょう。
衛生的によくないとされるのは、細菌や病原体と言った体の損傷や病気を引き起こすものや、純粋に食すのに適していないものを食べることによって、体に異常をきたすもの、これらのことです。
これらが料理する際、どんな場所にいるのかご存知ですか?
生肉や生魚はもちろんのこと、洗っていない野菜にも細菌や、もしかしたらカビが付着しているかもしれません。
腐敗した食材にも細菌は発生します。賞味期限を過ぎても大丈夫と、安易に口にすれば容易に細菌は体内に入り込むでしょう。
食材ばかりではありません。食材が触れる包丁やまな板、菜箸やトング、ボウルにも、お皿にも。全てに細菌や病原体が潜んでいる可能性があります。
またそれらが仮にきれいだったとしても、私たちの汚い手で触ったら、一瞬に全てが汚染されるでしょう。
衛生に気を付けないということは、これらに関して全くの無防備でいるということですよね。
体が強い人ならば、多少そういったものを摂取してしまったとしても問題はないかもしれません。しかし食事は恒常的に、老いて死ぬまで続けるものです。一食の摂取量が大したことないものだったとしても、それが積み重なればまず間違いなく体を壊すことにつながると思いませんか。
またそれ以前に、体が強いから大丈夫などというのは完全な過信にすぎません。
細菌や病原体は、毒と同じです。それを摂取しても大丈夫なんて考え、一体どこから来るというのでしょうか。それで死んでしまっては手遅れなのですよ。
料理に関する衛生知識とは、そういったことを前提に、いかにして安全な料理として提供を果たすか、ということを考える材料になる、大事な知識なのです。
正しい衛生知識とは何か
これを踏まえて、では皆さんに正しい衛生知識を身に付けていただきたいと思います。
さて、正しい衛生知識とは何なのか。
専門的なことを並べ、細菌の死滅温度や活性温度、病原体ごとにすべき適切な対策と対応、滅菌手袋や防具の装着…。
なんてことをしてたらそれってもう料理じゃなくなっちゃいますよね。食材の手術みたいになっちゃいます。
専門的な正しい衛生知識というのも知っておくに越したことはありません。しかし私たちを料理をするのですから、それに見合った衛生知識を身に付ければよいのだと思います。
では料理にみあった衛生知識とは何なのか。それは、
どこに不衛生な要因があるのかを知り、可能な限りでその対策を取るということです。
料理は日々の必須作業です。小難しいことをしてしまうとかえって毎回続かなくなってしまうもので、それでは衛生知識を付ける意味がありません。毎日しっかりやることが基本の衛生だということですね。
ではまず、どこに要因があるのかを知りましょう。と言ってもポイントはたったの3つです。
- 料理する人自身
- 食材
- 調理器具
これらから不衛生な要因を取り除くことができれば、私たちは衛生的に料理が出来るということです。では次に、その対策を見ていきましょう。
手洗い
料理する私たち自身が一番の不衛生ターゲットです。私たちは汚いんですよー?
特に注目すべきは「手」です。そこが最も汚い部分の一つであり、食材が触れる場所だからです。まさか足とかお腹とかで食材は触らないですよね。だからまずは「手」をどうにかすればよいのです。
方法はいたって単純、手洗いすればよいのですが、これにも方法があります。
よく、手の洗い方と張り出された紙に1分以上洗うだの肘まで洗うだのと書いてありますが、毎回それはしんどいので、要点だけ押さえます。
・指の間
・爪の間
・親指とその付け根
手のひらや甲は何も考えなくとも洗っているものですが、上にあげた場所は案外洗えていないことが多い箇所です。これらに気を付けて手洗いすれば、とりあえずきれいな手になると思います。とりあえず、ですけどね。
消毒
消毒は衛生の基本中の基本です。特に、手洗いしてもまだ汚い「手」と、食材が触れる調理器具には消毒が効果的です。
料理を始めるときに手をアルコール消毒。
調理器具も使うときにアルコール消毒。使い終わったら、しっかりきれいに洗ったあと漂白で殺菌できればなおよいです。
ちなみにですが、漂白は細菌などに大変効果のあるものですが、汚れを落とす成分は入っていません。食材カスや油分などが付着した状態の調理器具を漂泊しても、何も効果がないことを覚えておいてください。
使い分け
食材の中で、やはり一番不衛生なのが食肉です。特にその表面には、口にしたら一発アウトになるような奴もウヨウヨ潜んでいます。
ですから可能ならば、それ以外の野菜などの食品とは、調理器具を使い分けて作業するのが望ましいです。特にまな板ですね。あとできればですが、器具を洗うスポンジなども使い分けた方がベストです。
そもそも使い分けて不衛生なものと距離を置くというのも、よい手段なのです。
保管方法
こうして衛生に気を付けながら料理をして、あとはもう大丈夫かというと、そうではありません。作った料理そのものも、完成した時から不衛生への道を歩み始めています。
中でも加熱して熱くなった料理は要注意です。
意外かもしれませんが、これが気を付けるべきは、冷めた時です。
食中毒を引き起こすような細菌は、特に30~40度の間で一番増殖すると言われています。これってぬるいお風呂程度ですね。
この温度帯が長引かないように、加熱した料理を冷ますときは急速に冷ませるようにするのが望ましいですね。
方法としては、涼しい場所に置く、氷水にあてる、などがあげられます。
可能な範囲で冷ましましょう。
これらの対策をしておけば、ある程度は食中毒を防げるので、可能な範囲で実行してみてください。
はっきり言って飲食店よりも家庭の方がはるかに汚い
衛生知識のもと対策を立ててきましたが、正直なところを言えば、本当にやってほしい衛生対策の40%程度といったところだと思います。家庭ではなかなか難しい、という考慮を含めていますので。
それはつまり、飲食店などでは完全な衛生対策が求められるということです。
昨今、飲食店の衛生管理は厳しくなっています。それでなくとも一度食中毒を起こせば途端にその情報が拡散し、たとえ是正しても、まともな営業再開は不可能になってしまう世の中です。飲食店の衛生対策は血眼だと言っても良いでしょう。
それでも食中毒はたまにあります。擁護するわけではないですが、そもそも料理の提供量の絶対数が家庭とは比較になりませんから、1万食に1食、100万食に1食、食中毒が出てしまうのは致し方ないことなのかなとも思います。もちろんダメなんですけどね。
それでも飲食店は食中毒をゼロにしようと頑張っています。はっきり言って、家庭に比べればめちゃくちゃきれいですよ、今の飲食店の厨房は。
それを見習う必要はありませんが、自分の台所が誰かに比較されることはないからと言って、衛生にすることを怠ってはいけませんね。
やってしまいがちなダメなこと
少し番外的になりますが、料理をしていてついやってしまいがちな、衛生的にダメなことを少し上げたいと思います。
・頭をかいたり、顔に触ったりする。
頭や顔も汚い部分の一つです。かゆかったり気になったりで気が付かないうちに触ってしまいがちな部分ですが、飲食店でこれをしたら手の洗い直しになります。
・野菜を洗わない。
農薬が付いているとかもありますが、野菜を洗わないときに一番気になるのが「土」です。根っこや刃物の根元などにある土を洗わずにいると、そこから細菌を摂取することになるので、気を付けましょう。
・菜箸やスプーンなど、味見をして口を付けたものの使いまわし。
これは飲食店では絶対にやらないですが、家庭や自炊など、食べるのが自分だけだったり身内だけだったりするとやってしまいがちなことではないでしょうか。
口の中の汚れや細菌が料理に混入してしまうので、なるべくやらないようにしましょう。
気にしすぎも難あり。適度で適切な対策が一番
あの手この手で脅かしてきましたが、気にしすぎるのも精神衛生上よくないです。
もう一度言いますが、家でする料理に必要な衛生知識とは、
どこに不衛生な要因があるのかを知り、可能な限りでその対策を取るということです。
可能な限りでよいのです。それこそキッチンを無菌状態にしてからでないと料理をしてはいけない、なんて話になったら誰もやりませんよね。続けられる範囲で、可能な限りきれいに料理する。これが自炊における正しい衛生知識です。