皆さんが良く使う調味料って何ですか?
塩や砂糖といった基本的な調味料はよく使うと思います。
調味料には世界中で使われるような基本的なものと、国ごとに発展して作られてきた各国独自の調味料があります。日本でも知られているものもあれば、あまり知られていないものもあり、その数は無限にあるといってもよいでしょう。
自炊で使いやすい調味料などはこちらの記事で紹介していますが、
その中にはもちろん日本にも独自の調味料があります。
今回はそんな日本の調味料の中でも「みりん」のお話。
実は知らないみりんのこと
皆さんは「みりん」と聞いてまず何を思い浮かべますか?
きっと「和食の料理で醤油とかと一緒に使われてるやつ」なんて感じで、醤油のバーター(一緒に付いてくるやつ)だとか思っている人もいるのではないでしょうか。
実際のところみりんが料理にどんな効果を及ぼすのか分からなかったり、そもそも「みりんって何?」なんて人もいるでしょう。
というわけで、まずはみりんとはなんぞや、というところからお話していこうと思います。
簡単に言えばみりんは甘いお酒
みりんの主原料となっているのは「もち米」です。
このもち米を一度蒸かしてから「米麹」と「お酒」と合わせて、熟成させたものが「みりん」になるのです。
そしてこの熟成の工程において、もち米などのでんぷん質が分解されて「糖」となり、甘みを生み出します。
もともと「お酒」を使っていますから「みりん」の性質もお酒となり、アルコールが含まれており、その度数はなんと「14%」程度。これは普通に、日本酒などと同レベルのアルコールです。
というか、むしろみりんも「日本酒」の一種と考えてもよいのではないでしょうか。
実際に、江戸時代の頃は甘いお酒として「飲用」で作られていたこともあるそうです。
その起源には諸説あり定かでないところもありますが、少なくとも最初は「甘いお酒」という認識が強かったのだと思われます。
調味料としてのみりん
日本酒が料理に使われるのと同じように、やがてみりんも調味料として作られるようになります。ただ、「お酒」として使うのでは日本酒とさして変わりません。そのせいか、みりんは調味料となってさらに甘くなっていきました。
今、おうちにあるみりんをちょっと舐めてみてください(ただし未成年はだめよ!)。すっごく甘いでしょう?
これが今のみりんです。
みりんには今は種類がある
ところで皆さん。今舐めたみりんは本当に「みりん」ですか?
商品名称に「本みりん」と書かれていればそれはみりんです。
でも、それ以外だったとしたら、それは昔からある本みりんとは違うんですよ?
実は現在、みりんと名の付く調味料の商品名称のパターンは3つあります。
- 本みりん
- 醸造調味料
- みりん風調味料
皆さんが見たみりんは、この3つのどれかに当てはまるはずです。一体それぞれが何なのか、そしてどうしてこんな風に分かれているのかを解説していきます。
本みりん
先ほども言ったように、これが昔からあるみりんです。
もち米を主原料とした「甘いお酒」の本みりん。かつて飲用とされていたと言いましたが、それは今も同じです。調味料としての扱いにはなりましたが、今でも飲もうとすれば飲むことができます。
それはつまり、日本酒やビールと同じ「酒類」ということにもなるわけで、そこには酒税がかかったり、売るための許可が必要であったりと、その扱いもまさに「お酒」と同じになっています。
醸造調味料
「みりんタイプ調味料」と呼ばれるこの調味料。
本みりんと同じくアルコール醸造によって作られるみりんですが、もち米から作られる本みりんに対してこちらは「水あめ」などを使って安価に製造しており、製造コストが低く抑えられています。
また、最も大きな違いは「飲用ではない」ということす。
製造過程で塩が添加されており、みりんと同じような「甘いお酒」ではあるものの、普通に飲むことはできないようになっているんです。そのために、この「みりんタイプ調味料」は「お酒」としての扱いがなされないのです。ですから酒税もかからず、許可がなくても調味料として売ることが可能になっているのです。
みりん風調味料
初めてこの調味料が世に出回ったときは少し感心したのを覚えています。
先にも述べたように、みりんは「お酒」であるが故に売るためにはいろいろなハードルがあります。そのハードルをなくすために作られたのがこの「みりん風調味料」です。
味は極めてみりんに近く、まさに「みりん風」と呼ぶにふさわしいのですが、特筆すべきはほぼアルコールが入っていないということです。
作り方はみりんとはほぼ違うといってもよく、とにかく「味わい」を極めてみりんに似せた調味料でしかないのです。醸造された原材料は使っていても、製造工程に「醸造」は含まれません。だから「ほぼ」アルコールが入っていないのです。
アルコールが入っていなのですから当然「お酒」とは呼べず、必然的に酒税もかからなければ、売るのに許可を得る必要もないわけですね。そしてこの調味料が作られたのはここに理由があるわけです。
実際に、昔はみりんを買うのは「酒屋」というイメージがありましたが、この調味料の登場以降、どこでも買えるようになりました。
料理におけるみりんの効果
さて、いろいろなみりんがあるということは分かりましたが、ではそもそも、みりんを料理で使うとどんな効果があるのでしょうか。
ここからが本題と言える、料理でみりんを使うことの意味。3タイプのみりんの比較もしていきますね。
甘みを付ける(1位本みりん 2位みりん風 3位みりんタイプ)
これまでさんざん言ってきたようにみりんのルーツは「甘いお酒」です。ですから当然、料理に使うと甘みを付けることができます。
しかも、砂糖の糖分(ショ糖)とは違い、複数の糖で作られていることから、その甘みにも深みがあります。砂糖ほど甘いわけではない、でも味わい深い、みりんにしか出せない甘みがあるんです。
また甘みは旨味と言われるように、みりんは料理に旨味を付けることもできます。ただ単に甘味料だと思うのは大違いなんですよ!
ツヤやテリを出す(1位みりん風 2位本みりん 3位みりんタイプ)
みりんの中に含まれる糖が食材をコーティングすることでテリやツヤを与えます。この効果を生かしたのがいわゆる「テリヤキ」ですね。
糖が強い方がテリも強くなるので、じつは本みりんよりもみりん風の方がこの効果が高かったりします。
食材の臭みを消す(1位本みりん 2位みりんタイプ 無しみりん風)
アルコールには食材の臭みを消す効果があります。アルコールが気化する際に食材の臭みも一緒に気化するのです。料理酒である日本酒がその最たる効果を持っていますが、それと同等のアルコールを含んでいるみりんもまた、食材の臭みを消すことができるんですね。
ただし、みりん風にはアルコールが含まれないのでできません。
味染みを良くする(1位本みりん 2位みりんタイプ 無しみりん風)
こちらもアルコールの効果に由来しますから、みりん風にはできません。
アルコールは食材を柔らかくし、味を染み込ませることができます。煮込み料理などにたっぷりのお酒を使うと柔らかく染み染みの味に仕上げるように、みりんでも同じ効果を演出することができます。
煮崩れを防ぐ(1位みりんタイプ 2位本みりん 3位みりん風)
みりんに含まれる糖質とアルコールが煮崩れを防ぎます。肉や魚だけでなく野菜にも効果があるので、砂糖ではなくみりんを使う意味は十分にあります。
番外・保存方法も違う
アルコールを含む本みりんとみりんタイプはお酒としての属性が強いので、冷暗所での保存が最適。
逆にみりん風はアルコールを含まないため、悪くなってしまうので冷蔵庫で保存するようにしましょうね。
うまく使って美味しく料理!
いかがでしたか?
醤油と一緒に付いてくる正体不明の奴から、ちゃんと役割のある調味料になったでしょうか?
うまく使いこなせば、みりんからはいろいろな効果を得ることができます。
また、みりんの種類によっても使い方が変わってくるのも面白いと思いませんか?
アルコールを主体に持つ本みりんやみりんタイプは加熱する料理に最適ですし、逆にアルコールを含まないみりん風は加熱しないで使用することができます。
全てを揃えていたら自炊が大変になってしまいますから、自分に合ったみりんを選んで使うのが一番いいです。
ぜひ、みりんを使いこなしておいしい料理を作りましょう!
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