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美味しい手作りチョコレートへの道2・カカオ豆からチョコを作る

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自炊が楽しくなる話

前回の記事では、チョコレートの歴史を振り返り、その歴史の奥深さと、人間がチョコレートに魅了され、そして至高のおいしさを追求するためのあくなき探求をしてきた出来事を解説してきました。

美味しい手作りチョコへの道1・まずは奥深いチョコの歴史を知る
バレンタインの季節こそ、みんなが一番チョコレートに触れる機会が最も多い時期ですよね。でも、いったいチョコレートが何なのか、皆さんはご存知ですか?今回はチョコレートを歴史で紐解いていくお話です。

チョコレートの歴史を知ることで、皆さんの中にチョコレートへの興味がわいてきませんか?

料理をするときに、その料理への興味を持つことが美味しいものを作るための秘訣です。チョコレートを作るとき、そのチョコレートへの興味や好奇心を最大限にした方が、絶対に美味しいものが作れるようになります。

今回はそんな興味をさらに大きくするためにチョコレートの世界を広げていきたいと思います。

カカオ豆の収穫からチョコレートになるまでの旅

皆さんがよく見たり食べたりしているチョコレートは、当然ですが「チョコレート」です。

ですが、歴史でも紹介されていたように、チョコレートは最初からチョコレートなわけではなく、最初は「カカオ」という名前の植物の実なんですよね。

じゃあ、どうやって「カカオ」から「チョコレート」になっていくのか、知りたいですよね。

実は、カカオをチョコレートにするためには、いまだもってその工程が複雑で難しく、なぜそうなるのかはっきりとは分かっていない部分もあるという、非常に難解な過程を踏まなければならないのです。だからこそ、チョコレートができるまでにはカカオの発見から数百年を要したのですからね。

ここでは、そんな長い年月をかけて人間がやっとたどり着いたチョコレートの製造工程を、1~2分くらいで理解できるように簡単に解説していきたいと思います(笑)
チョコレートを頑張って開発した人、ごめんなさい(笑)

カカオの収穫から加工

ご存知のようにチョコレートの原材料はカカオです。

「カカオ」の木は熱帯気候でしか育たず、また多湿で日陰であることなど、その育成条件も多く限られた土地でしか育ちません。ですから、その条件に合った土地ということで中米や南米でもともと盛んに栽培されていたわけです。

カカオの実は「カカオポット」と呼ばれ、巨大なアーモンドのような形をしています。そのカカオポットを割ると、中にぎっっしりと種が入っています。その種こそが「カカオ豆」なのです。

カカオポットを割れば出てくるカカオ豆ですが、これをそのままチョコレートにすることはできません。カカオ豆をチョコレートの原料とするためには、二つの工程が必要になります。

1.発酵

収穫されたカカオ豆は、まず、バナナの葉っぱや専用の容器などに入れられて、発酵させる必要があります。発酵させることで初めて、チョコレート独特の色や香りが出るようになります。

とても大事な作業ですが、実は今現在においても、この発酵を完全にコントロールすることはできていません。どんな微生物が働いて発酵させることによりどんな色や香りになるのか、実はちゃんとはまだ分かっていないんですよね。チョコレートの製造方法はいまだもって研究途中なわけです。奥深い。

2.乾燥

発酵させたカカオ豆は、そのままにしておくと腐ってカビてしまうので、ある程度まで発酵させたら、次にある一定の水分量になるまで乾燥させます。こうすることで豆の品質を一定に保つのです。

しっかりと乾燥させたら、カカオ豆の加工は終わりです。ここから、チョコレートの原料のカカオとして世界中に旅立っていくのです。

ちなみに、カカオの生育環境は高温多湿ですが、チョコレートは低温低湿でなければ作れません。つまり、カカオの生産場所と、チョコレートの生産場所は絶対的に同じではないんです。この点においても、チョコレートの製造がいかに奇跡的であるかがわかるかと思います。

チョコレートの製造工程1~材料を作る~

ここからはいよいよカカオを使ってチョコレートにしていくわけですが、チョコレートの製造において絶対的に必要になるものがあります。

カカオマス

市販されているチョコレートを見れば、必ず原材料に入っているのがこのカカオマス。これが何なのかと言えば、一言では言い表しにくいのですが、

チョコレートの素

です。

どのようにしてカカオマスができるのかと言えば、

1、カカオ豆を焙煎して、独特の香りと味を引き出します。

2、焙煎したカカオ豆を粉砕し、ふるいにかけて、外側の固い部分であるシェル(種皮)とその中にある豆の核であるニブ(胚珠)に分けます。使うのはニブの方。

3、ニブをすりつぶして、どろどろのペースト状にする。これがカカオマス。

という工程になります。

カカオバター

カカオ豆から抽出される天然植物油脂のことです。

正確にはカカオニブに大量のカカオバターが含まれていて、圧搾することで抽出でできます。

カカオニブにカカオバターが含まれているということは、もちろんカカオマスにも最初からカカオバターは含まれているということですが、それでもカカオマスにカカオバターを加える理由は、チョコレートの口溶けの良さを出すためです。

カカオバターの主な性質は二つあります。

1、低い融点

カカオバターの融点は33,8度。この温度を超えると完全に溶けてしまいます。これはつまり、人間が口の中に入れた時ちょうど溶けるくらいの温度なのです。

食べ物の口溶けの良さというのはいかに人間の口内温度に近いかということがポイントになります。

カカオニブだけではそれほど口溶けが良くないのですが、口内温度よりもわずかに低めの温度で溶けるカカオバターが大量に含まれていれば、必然的に口溶けが良くなるというわけです。

2、酸化しにくい

カカオバターは天然植物油脂ですが、動物系の油脂を含めたすべての油脂と比べても、酸化しづらい性質を持っています。

これはカカオバターが抗酸化物質を持っていることに由来しており、この効果があることにより、長期間の保存が可能となり、その栄養価の高さも相まって非常食としても重宝されるのです。

これらの理由により、チョコレートには「カカオマス」と「カカオバター」がほぼ必須材料として使われます。

チョコレートの製造工程2~混合から調温まで~

「カカオマス」と「カカオバター」、これらを軸として、砂糖や牛乳などを加えてチョコレートになります。作る人やメーカーによってその調合材料は変わりますが、それほど多くはありません。

じゃあもうあとは簡単にチョコレートを作れる…なんてことはありませんよ?

実はチョコレートはここからが難しいのです。何が難しいのかと言えば、大きく分ければ、

油分であるカカオバターと水分であるミルクなどとの混合が難しい。

混合できてもその状態を安定させるのが難しい。

滑らかな口溶けや舌触りにするのが難しい。

という3つのポイントになります。これらのポイントを解決するためにいくつかの工程が必要になるのです。

混合

チョコレートの基本、カカオマス、カカオバター、砂糖、牛乳。

これらをまずは混合させるのですが、ただ混ぜ合わせるだけではきれいに一つの液体になることができません。これを解決する方法はいくつもあり、メーカーの企業秘密になっていることが多いですが、最も古い方法で言えば、砂糖と牛乳を合わせて煮詰めコンデンスミルクとし、混ぜ合わせていくことできれいに混ざるというものです。これは初めてミルクチョコレートが作られた時のやり方ですね。最近では脱脂粉乳などの水分を完全にとった乳製品が使われています。

微粒化

混ぜ合わされただけの状態だと、皆さんが食べるチョコレートの滑らかな舌触りとは程遠いほどザラザラしています。これを解消するために、薄く生地を伸ばすように、たくさんのロールで潰すようにチョコを通して、ミクロン単位の滑らかさにまでしていきます。かなりの時間を要する工程です。

精錬

加温しながら長時間混ぜて練り上げ続けることで、さらに滑らかに、舌触り良くしていきます。この工程を経ることで風味もよくなります。

調温(テンパリング)

最終的にチョコレートは冷やし固めるのですが、ただ単に冷やし固めてしまうと、ここまで入念に混ぜ合わせたチョコレートがまた分離してしまいます。

それを防ぐため、一度一定の温度まで冷やし、さらに再加熱して温度を上げることでその状態を安定させるのです。

この作業を「テンパリング」と言い、実は私たちが自分たちでチョコレートを溶かして加工する際も、このテンパリングを行うことで安定したチョコレートづくりができるようになります(テンパリングに関しての詳しい解説は次の記事でしております)。

テンパリングをしたチョコレートは、分離を防げるだけでなく、艶やかなシルクのようなチョコレートになるのです。

どの工程も「1℃」単位の繊細な作業

あとはゆっくりと冷やし固めてチョコレートの完成です。

すべての工程において、チョコレートは一定の温度を保ち、そして変化させる必要があります。現在においても非常に難しいこの製造工程を昔の人間は編み出したのですから、本当に、チョコレートへの情熱はすごく熱かったんでしょうね。

さて、次からはついに私たちができるチョコレートの作り方と、チョコ菓子の種類などを紹介していこうと思います。

美味しい手作りチョコへの道3・チョコレートの種類とチョコ菓子の紹介
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