うま味=UMAMI
であるように、うま味は日本で最初に発見された5つ目の「味」です。
よく勘違いされがちなのは「うま味=美味い」。
確かに、うま味がある食品や料理はとても美味しく感じます。でも、食べたものが「美味しい」と感じるのはなにもうま味だけの力だけではなく、他の味覚や、食感や香り、さらにはどんなシチュエーションで食べたかなど、あらゆる要素が作用した結果が「美味しい」なのですね。
対して「うま味」とは、こういってはなんですが、本当にただの「味」の一つにすぎません。甘い、しょっぱい、酸っぱいなどという味覚の一つなのです。うま味と美味しいは直接的な因果関係にはないんですね。
でも。
うま味があれば料理が美味しくなることは確かです。
はてさて、一体どういうことか。
今回は「うま味」の正体を紐解いていきます。
「美味しい」とは違う「うま味」の正体とは
うま味と美味しいは違います。
しかしうま味がある食品は美味しくなる傾向にあります。
なぜこのようなややこしい感じになるのかを理解するには、まずうま味とは何なのかを知らなければなりません。
味覚の種類は昔は4つだった
現在確認されている味覚は5つ。
塩味
甘み
酸味
苦味
うま味
これは知っている方が多いと思います。この基本の味のほかに辛味や渋味があるわけですが、この基本味の中で、うま味はごく最近に発見され、正式に味覚として認知されたのは2000年のことです。
つまり、それ以前にはうま味はなく、それ以外の4つの味覚しかなかったということです。
とはいえ、料理には当然昔から「美味しい」という概念は存在しました。
塩味や甘味などの複数の味覚の調和が取れた、バランス良い味こそが「美味しい」に繋がるとされていたのです。
それは決して間違ってはおらず、今の料理にも当たり前にその考え方は存在します。つまり、うま味という味覚がなくても「美味しい」は作れるということなんですね!
なぜうま味が生まれたのか
うま味がなくても世界の料理はしっかりと形成されていました。ではなぜそこに「うま味」が割って入ってきたのでしょうか。
その原因は…「日本」にあります。
実は日本では昔から、うま味というものが料理に活用されていました。
鰹節や天日昆布、干しシイタケなどは今でもうま味を代表する食品ですよね。
と言っても、昔の人々は「うま味」というものをはっきりと認識していたわけではありません。せいぜいが「塩味や甘味ではない別の味」程度の認識で、この味が強いものを日本人は好んで「美味しい」と感じていました。
そして1908年、ついにこの正体不明の味がとある成分によるものだと突き止めたのが日本人科学者の池田菊苗でした。
この時に発見されたのが昆布に含まれる「グルタミン酸」です。
このあとにもさらにいくつかの成分が日本人の手によって発見されています。
しかしこの時はまだ世界的にはこの新たな味に対しては懐疑的で実在を信じてもらえていませんでした。
理屈として料理は完成していたのですから、当然と言えば当然です。新しい味は必要なかったし、あってはいけなかったんです。
今まで4つの味で作り上げてきた料理の理論が、5つになってしまうと根底から覆りかねませんからね。
1985年には世界の学会で「UMAMI」が正式に認識されますが、それでもそういった成分があるというだけで「味覚」としては認められませんでした。
ですが2000年、ついにとある発見がなされます。
私たち人間には体の構造として「うま味」を感じるための感覚があるのだと科学的に証明されたわけです。これによりついにうま味は5つ目の味覚に仲間入りしたのです。
つまり「うま味」とは、美味しい不味いの基準となる味なのではなく、人間が感じることができる単なる味覚の一つだということです。
塩味=しょっぱい
甘味=あまい
酸味=すっぱい
苦味=にがい
うま味=うまい
これがうま味の正体です。うま味は「美味い」のではなく「うまい」なんですね!
うま味は味覚におけるジョーカーのようなもの
うまい=美味い
とは違うことは分かったと思いますが、やはり納得いかないところもあると思います。
なぜ意味が違うのに同じ言い方をするのかってことですよね。
あっさりと言ってしまえば、うまいと美味いは、意味は違っても密接にかかわっているから、同じ言い方になったんですよ。
違うのに、限りなく同じ。歯がゆい表現ですね。
でも実は、これがうま味が最近になるまで認識されなかった理由でもあるのです。
うま味を美味いにする手段は、ある
うま味はあらゆる味覚の底上げをして、料理の美味しさを格段に上げる大事な味覚!
そんな、サポート役に徹しがちなうま味ですが、実はうま味が主役になる方法は存在します。
次の記事ではうま味を最大限に活用して料理を美味しくする方法をご紹介します!
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