さぁ、ここまでで、チョコレートの歴史、チョコレートの製造工程、チョコレートの種類、チョコ菓子の種類と紹介してきました。
今回の「おいしい手作りチョコへの道」シリーズはこれで最後です。
そして最後についに解説していくのが、こちらです!
手作りチョコを作る~気を付けるべき4つのことと、やっておくべき1つのこと~
ついに手作りチョコレートの作り方を解説していきたいと思います。
作り方、と言っても、当然ですがカカオから作るわけではありませんよね。
市販されているチョコを材料にして、形を変えたり違うお菓子に変えたりしていくわけです。そしてどんなチョコレート菓子を作るかは皆さん次第ですから、ここではチョコレート菓子の作り方は解説しません。前回の記事でもチョコレート菓子をいくつか紹介しているので、そちらを参考にして頂くのもよいでしょう。
ここから解説していくのは、チョコレート菓子にする前段階の、チョコレートの加工の方法です。
チョコレート菓子を作るには、まずは元となるチョコレートを加工していくわけですが、このチョコレートを加工するときには、気を付けるべきことが実はたくさんあるんです。そんな気を付けるべきことを、今回は要点を絞って4つにまとめました。
そしてチョコを加工する際には、やっておくべきことが一つあります。
このやっておくべきことをすると、そのあとのチョコレート菓子が何倍も美味しくきれいに仕上がるので、ぜひ参考にしてやってみてくださいね!
では、まずは気を付けるべきことから!
チョコレートを加工するときに気を付ける4つのこと
カカオからチョコレートになるまでに複雑な工程を経てきた食べ物ですから、実はその加工にはやってはいけないことややらないといけないことなどの気を付けるべきことがあります。
ここではそれを4つにまとめてお伝えしますね。
適時適温がポイント
適切なタイミングと、適切な温度で作業をする。
料理にはこの「適時適温」という考え方は基本として存在しますが、チョコレートの場合はこれは特にシビアです。
ここまでの解説でもわかるように、チョコレートの融点は繊細で、常温であっても季節によって溶けたり溶けなかったりします。
また、もともと分離しやすい材料を奇跡的な技術によって一つのチョコレートにしているわけですから、これを加工するというのは、また不安定な状態に戻すということでもあります。
できる限りチョコレートの持つ滑らかさやくちどけを損なわないように、細心の注意を払って「適時適温」で作業をする必要があります。
基本的には、
チョコレートを溶かす作業を行うときは室温は約20℃程度にすることをお勧めします。また、溶かしたくないチョコレートはしっかりと涼しいところで保管するようにしましょう。冷蔵庫に入れる必要はありません。
水分は厳禁
チョコレートを加工する際に、水分は厳禁です。
チョコレート製造の過程でせっかく水分を取り除いたのに、ここで水分を入れてしまったらチョコレートが台無しになってしまいます。
溶かしたチョコレートに水が入ると途端に分離し始めるので注意しましょう。
急激な温度変化をさせない
チョコレートを扱うときに、溶かしたり固めたりすると思いますが、その際に急激に温度変化を与えてと溶かしたり固めたりすると、これだけでもチョコレートは分離してしまいます。
温度変化を与えるときにも適時適温が存在するのです。なるべく緩やかに温度変化を与えるためには、温めるのならばこまめな湯煎、冷ますのならばこまめに水を当ててやるようにしましょう。
また、長時間かけて温度変化させるのもよくありません。温度変化を与えたいチョコレートは、なるべく均一に細かくしておくようにしましょうね!
空気を入れないように混ぜる
空気を入れてしまうと、チョコの艶やかさが鈍ってしまいます。メレンゲを作るのとは違いますから、チョコレートを混ぜるときはなるべく空気を入れないように混ぜるのが基本ですよ。
チョコレートを加工するときテンパリングはやっておくべき
テンパリングとは、チョコレートの温度調整をすることで、
ムラ(ブルーム)をなくす
つやが出る
口溶けや舌触りが良くなる
状態が長持ちする
という効果を得ることができます。
先に解説させていただいたチョコレートの製造工程の中でも「テンパリング」がでてきたかと思います。
つまり、市販されているチョコレートはすでにテンパリング済み、ということになりますが、だったらもうテンパリングする必要がない、というのは間違いです。
手作りチョコを作る際に私たちはチョコレートを溶かす必要があります。するとその時点でテンパリングの効果は無くなってしまいますから、私たちの手でもう一度テンパリングする必要があるのですね。
スイート・ミルク・ホワイトチョコのテンパリング方法
実はチョコの種類によって、さらにメーカーによってわずかに調温すべき温度が違うのですが、今回は一般的な温度で紹介したいと思います。さらに方法もいろいろとあるのですが、今回は「水冷法」と呼ばれるやり方でご紹介します。
スイートチョコの場合
・50℃程度のお湯を用意し、ボウルに入れたチョコを湯煎します。
・空気が入らないように丁寧に、しかし素早く混ぜながら、チョコの温度を50~55℃程度にして溶かす。
・次に15℃程度の水を用意し、湯煎していたチョコのボウルをそちらに移して同じように混ぜながらチョコの温度を27~9℃に下げます。この温度が大事!
・そこからもう一度湯煎にかけて、同じように混ぜながら30~32℃にチョコの温度を上げます。チョコにツヤが出て、へらなどに付けたチョコが短時間で固まったら成功です!
ミルクチョコレートの場合
・50℃程度のお湯を用意し、ボウルに入れたチョコを湯煎します。
・空気が入らないように丁寧に、しかし素早く混ぜながら、チョコの温度を45~50℃程度にして溶かす。
・次に15℃程度の水を用意し、湯煎していたチョコのボウルをそちらに移して同じように混ぜながらチョコの温度を26~8℃に下げます。この温度が大事!
・そこからもう一度湯煎にかけて、同じように混ぜながら29~30℃にチョコの温度を上げます。チョコにツヤが出て、へらなどに付けたチョコが短時間で固まったら成功です!
ホワイトチョコレートの場合
・50℃程度のお湯を用意し、ボウルに入れたチョコを湯煎します。
・空気が入らないように丁寧に、しかし素早く混ぜながら、チョコの温度を45℃程度にして溶かす。
・次に15℃程度の水を用意し、湯煎していたチョコのボウルをそちらに移して同じように混ぜながらチョコの温度を26℃に下げます。この温度が大事!
・そこからもう一度湯煎にかけて、同じように混ぜながら28~29℃にチョコの温度を上げます。チョコにツヤが出て、へらなどに付けたチョコが短時間で固まったら成功です!
テンパリングの理屈と効果
テンパリングの理屈は少々難しいのですが、簡単に言えば、チョコレートの構造にはいくつかあり、その中で最もおいしい構造は一つなのです。チョコレートの構造は温度により変わるため、その最もおいしい構造にチョコレートを整列させるため、テンパリングでの温度調節が必要になるのです。
作業的にも難しいですが、このテンパリングをするのとしないのとでは、出来上がったチョコレートの仕上がりは全く違います。ぜひひと手間として、やっておきたい工程です。
温度を測るのが難しいので、こちらでテンパリングに使える温度計を少しご紹介しておきます。単純な温度計のものから、ゴムベラが温度センサーになっていて、混ぜながら温度を確認できる優れものもあるので、自分に合ったものを選ぶおと良いですね。
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仮に温度変化に失敗しても何度でもやり直しがきくので、難しく考えずにトライするのが良いと思います。
テンパリングしたチョコレートは、そのまま型に流して固形にするもよし、製菓材料として使うもよしです。
チョコを加工するときに気を付けるべき4つのことと、やっておくべきテンパリングさえクリアーすれば、どんなチョコレート菓子もとても美味しく仕上がるはずですよ!
チョコレートを知ってもっと好きになってください!
身近にあるのに実は知らないチョコレートの世界。
いかがでしたでしょうか。
詳しく知らなくてもチョコレートはおいしいですし、手作りチョコも作ることはできます。
でもやっぱりチョコレートが何なのか知っておくと、そのおいしさの奥深さや、美味しいチョコを作るための理解が深まると思います。
ぜひ、チョコレートを知って、好きなチョコレート菓子を作ってみてください!
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